サラ金の金利の変遷についてご紹介

金利

サラ金の借り入れを行う際、金利を見て判断する方も多いと思います。現在、サラ金の金利は利息制限法で20%と定められています。しかし、以前は驚くべき金利が定められていたのをご存知でしょうか?過去にサラ金はすさまじい変遷があったのです。今回はサラ金の変遷についてご紹介します。


サラ金の登場

サラ金の変遷は元をたどれば質屋から始まりました。個人に対して金銭を貸し付ける仕組みは1929年の日本昼夜銀行の小口融資から始まりました。しかし戦後まではモノを担保に貸し付けを行う質屋がメインだったと言われています。モノの価値と金銭の価値が合わなくなり、信用で貸し付けを行い始めたのは1950 年以降。ここから現在のサラ金が登場するのです。

質屋が徐々に消えていく1960年代から現在のサラ金の存在感が強まります。当時はサラ金という呼び方はされず、「団地金融」「勤め人信用貸し」というちょっと変わった言い方がされていました。なぜ1960年代からサラ金が盛り上がり始めたかというと、ちょうど高度経済成長に突入した時代と重なっていることから、この時期から人々の経済活動が盛んになったことが分かります。そのため、ローンやクレジット、サラ金への需要が高まったのです。


サラ金の急成長

この時期からサラ金の変遷は始まりました。これまで銀行の小口融資は申し込みが複雑で手間も時間もかかり、気軽には受けられないという印象が強いものでした。しかし当時のサラ金はそんな消費者の気持ちに応え、「即時」「小口」「無担保」という今と変わらない特徴を取り入れて、人気を集めました。大手サラ金が誕生したのも1960年代からです。

1960年 アコム
1962年 プロミス
1967年 アイフル

しかし、当時は審査基準も甘く、返済能力がない方にさえお金を貸していました。そのため支払い困難に陥る方が増加したのもこの時期です。


信用情報機関の登場

サラ金の変遷の中でも大きなポイントとなるのが信用情報機関の誕生です。申し込み者の返済能力や信用を一定の基準で判断するために1970年代から信用情報機関が設立されました。返済能力や信用情報を把握した上で貸し付けを行うことにより、返済困難者を増やさず健全な発展が見込めるようになりました。


サラ金に対するマイナスイメージ

オイルショックの影響を大きく受けたサラ金ですが、この時期からサラリーマンの利用者が増加したことから「サラ金」と呼ばれるようになりました。しかし、この時期のサラ金の金利は年91.25~102.2%とかなりの高金利。当然返済困難になる利用者も多かったのですが、取り立ても暴力や脅迫なしでは行われませんでした。当時は現在のように取り立てを規制する法律もなかったため次第に取り立ての悪質さが広まり世間からの目も冷たくなりました。このような取り立てにより精神的に追い込まれて自殺する方も現れ、サラ金の高金利や取り立ては社会問題にまで発展しました。


サラ金の社会問題化

サラ金の問題は国会で取り上げられ、サラ金の適正化を求める通達が出されました。サラ金へ融資を行っている銀行、生命保険はこの通達を受けて、サラ金への融資を抑え始めます。これにより資金の調達が困難になった多くのサラ金は経営困難に陥り廃業を迫られました。

サラ金に関する法制度が誕生

1983年、「賃金業規制法」と「改正出資法」が成立しました。この法律に則り、金利が109.5%から73%に、1987年には54.75%、1991年には40%にまで引き下がりました。この金利の引き下げもサラ金の経営には大きな影響を及ぼしました。この期間にサラ金の数がおよそ8分の1以下に減少したのです。しかし1980年代、日本経済は比較的良好。そのため残ったサラ金は次第に回復軌道に乗ります。寒い冬を耐え抜いたサラ金だけが1990年以降の飛躍的な発展を遂げることができたのです。


サラ金のイメージ戦略

ここからサラ金の新たな変遷が始まります。自動契約機の「むじんくん」の登場、アイドルや小動物を起用したテレビコマーシャル、株式公開など、消費者に対してサラ金が身近な存在になり始めた時期であったと言えます。利用者の利便性を考えたサービス、広告の打ち出しでサラ金のマイナスイメージを徐々に払しょくします。


上限金利の引き下げ

1999年の商工ローン問題をきっかけに賃金業規制法と出資法の改正論議が進みました。ここで出資法は上限金利が40%から29.2%と大幅に引き下げられ、世間を騒がせました。この金利の引き下げもサラ金の変遷で大きなポイントになり、さらに廃業に迫られるサラ金が増加しました。この金利の引き下げの時期からサラ金と銀行の資本と業務提携が進みます。

サラ金 銀行
アコム 三菱東京フィナンシャルグループ
プロミス SMBCグループ

 


グレーゾーン金利問題発生

実はサラ金が世間にあまり注目されていない1954年から「利息制限法」という法律が施行されており、上限金利は以下のように定められていたのです。

元本 上限金利
10万円未満 20%
10万円以上100万円未満 18%
100万円以上 15%

しかし利息制限法は罰則が定められていなかったため、ほとんどのサラ金はこの金利を守りませんでした。そこでこの利息制限法と出資法の間で上限金利を設定することをグレーゾーン金利と言います。そうすることでサラ金は利息制限法を守らなくても高い利息で利益を上げることができたのです。

しかし2006年、グレーゾーン金利をめぐる問題が裁判所で取り上げられ、結果「グレーゾーン金利を認めない」という判決が下されました。そうすることでこれまで高い金利を支払っていた利用者も過払い金を請求することができ、グレーゾーン金利で貸し付けを行っていたサラ金は廃業に迫られ始めました。


現在のサラ金の上限金利は20%!

つまり、現在正規のサラ金の上限金利は高くて20%。大手サラ金のアコム、アイフル、プロミスは18%が多いです。そのため、それ以上の金利を設定しているサラ金は闇金と考えてください。簡単に借り入れできることを謳い、高額な利息とひどい取り立てで利用者を追い詰めます。サラ金の変遷で学んだ金利の恐ろしさを忘れず、正規のサラ金で借り入れを行いましょう。